口腔顎顔面再建学講座?[歯科麻酔学分野]
歯科麻酔学分野では、口腔外科手術の全身麻酔、全身の病気を有する患者様の歯科治療中の全身管理、障害児(者)の歯科治療中の全身および行動管理、口や顔の痛み(神経痛など)の治療(ペインクリニック)、さらに歯科治療中の偶発症に対する救急処置に関する事項を学びます。
講座?教室からひとこと
臨床面では、歯科麻酔科は「歯科治療中の患者様の安全と快適さの追及」をテーマとしてやっています。例えば全身疾患があるために一般開業歯科医院では治療が難しい患者様でも安心して歯科治療が受けられるよう、また、単に歯科治療が怖い、緊張するという患者様にも苦痛なく快適に歯科治療が受けられるようにと最新の医療技術を駆使して対応しています。
一方、研究面では、臨床での「安全性と快適性」を提供するためのエビデンス(実証)となる臨床研究のほか、基礎的研究として各種麻酔薬や鎮静薬が血管平滑筋などにどのように作用するかという研究を医学部、歯学部の基礎講座の協力を得ながら進めています。
私どもの分野は、平成元年7月に開設され、以来、「全身を診る歯科医師」の養成を目標に多くの日本歯科麻酔学会認定医、専門医を輩出しました。現在も歯科医療の各分野で「安全で快適な歯科医療」の提供に活躍しています。
講座?教室の基本理念
本教室では、「安全で快適な歯科医療」を実践できる歯科医師の養成を目標としています。学生教育はもちろんのこと、本学附属病院歯科医療センターは日本歯科麻酔学会の研修機関に認定されており、認定医、専門医の養成を目標に臨床、研究、教育を進めています。また、“実践に優る教育はなし”との信念のもとに歯科症例のみならず、医科症例も研修できるように充実した研修プログラムを築いています。もちろん歯科医療の技術向上のための研修プログラムも確立しています。さらに、本教室の技術を地域歯科医療に提供すべく地域医療との連携も進めています。
主な研究内容および診療内容
<主な研究内容>
- 静脈内鎮静法時の記憶に関する研究(機能的MRIによる画像的変化での検討)
- 局所麻酔薬の動脈血管平滑筋に対する作用に関する研究
- 精神鎮静法や全身麻酔が患者の呼吸、循環に及ぼす影響に関する研究
- 神経ブロック後の神経回復過程に関する研究
<主な診療内容>
- 歯科患者の全身麻酔
口腔外科領域における侵襲(痛み)の大きな手術での全身麻酔を行っています。 - 全身麻酔下での歯科治療
精神発達遅滞や自閉症などさまざまな理由によって通常の歯科治療が困難な患者さんに対して、他科と連携しながら全身麻酔下で歯科治療を行っています。 - 精神鎮静法を用いた歯科治療
不安や恐怖心が先立って歯の治療が受けられない患者さんや嘔吐反射が強くて歯科治療が困難な患者さんなどにおすすめです。精神安定薬の点滴注射や安全な麻酔ガスの吸入を併用することで、意識が保たれたまま緊張がとれてリラックスした状態で快適に歯科治療を受けることができます。 - モニター管理下での歯科治療
高血圧や狭心症、糖尿病などの内科的疾患をお持ちの患者さんは、歯科診療中に緊張や痛みで体調が悪くなったり、持病が悪化することがあります。
このような患者さんの場合、心電図や血圧計などのモニターをつけた状態で歯科治療を行うため、非常に高い安全性を提供することができます。 - 顔や口腔の痛み、麻痺の治療(ペインクリニック)
三叉神経痛や顔面神経麻痺など顎?顔面?口腔の痛みや麻痺に対して、薬物療法や神経ブロック療法などを行っています。痛みの原因がわからなかった患者さんが、ここでの治療によって改善されたという方も少なくありません。他の医療機関からの紹介が多いのですが、直接受診されても構いませんので、原因不明の痛みをお持ちの方、痛みが持続する方は、お問い合わせ下さい。