口腔顎顔面再建学講座 [口腔外科学分野]
当分野は、口の中(口腔)や顎骨などにできる色々な病気の教育、診療ならびに研究を行っています。
講座?教室からひとこと
口腔外科学教室は昭和40年に開設され、昭和48年に口腔外科学講第一講座(平成21年に顎口腔外科学分野と改称)と口腔外科学講第二講座(平成21年に歯科口腔外科学分野と改称)の2講座となり、以来、口腔外科の教育、診療、研究を2つの講座が担当してきましたが、本年(2012年)4月に顎口腔外科学分野(旧口腔外科学講第一講座)と歯科口腔外科学分野(旧口腔外科学講第二講座)が統合されて、新しく「口腔顎顔面再建学講座 口腔外科学分野」となりました。 口腔外科学は、歯だけではなく、口腔粘膜や顎骨、唾液腺、顎関節、顔面?頸部にできるいろいろな疾患の診断と治療を扱う学問で、当分野は口腔外科学の教育、診療ならびに研究を行っています。 近年、超高齢化に伴い、高血圧症や心臓病、脳梗塞、糖尿病など、色々な全身の疾患を持った患者様が増えています。また、口腔乾燥症(ドライマウス)など、口の中だけでなく全身と深くかかわっている病気も増加し、さらに口腔粘膜の前癌病変?前癌状態や口腔がんの患者様も増えつつあり、早期発見?早期治療が望まれています。これからの歯科医師は歯だけでなく口の中全体を診ることができ、患者様の全身状態を把握し適切に対応できることが求められていて、口腔外科学の重要性や必要性が一層増しています。
講座?教室の基本理念
岩手医科大学は「医療人たる前に誠の人間たれ」という全人的医療を理想に掲げています。当分野は、口腔外科学の教育、診療、研究だけでなく、この理想を実現できる歯科医師の育成に力を注ぐとともに、患者様とともに生きる歯科医療の実践、より良い歯科医療の実現をめざした研究に取り組んでいます。 教育では、学習者の自主性を尊重し、懇切丁寧な、わかりやすい実際的な教育を心がけ、患者様の口の中全体を診る「1口腔単位の歯科医療」、さらに患者様の全身の状態を把握し適切に対応する「安心、安全な歯科医療」を実践できる歯科医師の育成に努めています。 診療では、患者様一人ひとりの訴えや希望に応え、丁寧であたたかい診療を心がけています。また、地域による医療レベルの格差のない標準的な歯科医療の提供に努めています。さらに、口腔癌治療における放射線治療と抗がん剤治療を組み合わせた新しい治療法など、高度で先進的な治療法を研究?実施しています。 研究では臨床に根ざしたテーマを選び、その成果を診療、教育に生かすよう努めています。
主な研究内容および診療内容
<主な研究内容>
当分野では、臨床に根ざしたテーマで研究を行っていますが、現在行っている、また今後予定している主な研究テーマは下記の通りです。
- 口腔癌の基礎的?臨床的研究
- 口腔癌の微小転移に関する研究
- 口腔癌の動注化学療法に関する研究
- 口腔癌の生物発癌に関する研究
- 口腔粘膜疾患の基礎的?臨床的研究
- 口腔前癌病変の発症原因?機序の解明のための基礎的研究
- 口腔扁平苔癬の発症機序解明と治療法の開発のための研究
- 口腔粘膜疾患と微量元素との関連についての研究
- 口腔粘膜疾患と老化に関する研究
- 組織再生の研究
- Tissue engineering による顎骨再生の研究
- 創傷治癒に関する基礎的研究
- 先天異常に関する研究
- 唇顎口蓋裂胎内手術に関する基礎的研究
<主な診療内容>
診療では、主に下記の口腔外科疾患および口腔内科疾患を対象としています。
- 埋伏歯(下顎水平埋伏智歯など)
- 良性?悪性の各種腫瘍(歯原性腫瘍、種々の良性腫瘍、口腔がんなど)
- 先天異常、発育異常、顎変形症(下顎前突症など)
- 顎骨?軟組織にできる各種嚢胞(のうほう)
- 外傷(口唇や歯肉の裂傷、歯の破折?脱臼、顎骨骨折など)
- 炎症(骨髄炎、顎骨周囲の化膿性炎症など)
- 各種の口腔粘膜疾患(ウイルス感染症、白板症、口腔扁平苔癬など)
- 唾液腺疾患(唾石症、口腔乾燥症など)
- 顎関節疾患(顎関節脱臼、顎関節症など)
- 神経疾患(三叉神経痛、顔面神経麻痺など)