生理学講座 [病態生理学分野]
生理学とは、生物が生きていく仕組みを「機能」の観点から理解していく学問です。生物が生きていく仕組みには、組織や器官または細胞であったりする各要素があり、それらがそれぞれどのような活動を行っているのかを解明してきた学問です。生理学と一括りになりますが、対象としている範囲は非常に広く、神経細胞の興奮発生に始まり伝導、筋細胞の収縮と力の発生、腺細胞の分泌、心臓の収縮と弛緩、四肢の伸展と屈曲、歩行?咀嚼?呼吸など、細胞レベルから個体レベルに至るまで多彩であり、それらを細胞生理学?一般生理学?システム生理学?行動生理学?口腔生理学として分類しています。
講座?教室からひとこと
病態生理学分野では、歯学部1年生を対象に、前期課程で学んだ細胞生理学(生物学)を軸として、神経細胞や筋細胞など特定の種類の細胞における機能を一般生理学として教えます。歯学部2年生では、1年生で学んだ知識を活用して、感覚系?運動系?内分泌系?呼吸系?消化系?排泄系?生殖系など、器官の機能を学ぶ器官生理学と、摂食?嚥下機能を取り巻く感覚機能と脳神経基盤などを学ぶ口腔生理学を組み込んでいます。講義では、勉強の動機付けが好奇心となる自律的な学習者になって頂けるように動画を中心とした視覚素材を多用し、オリジナルの講義資料を作成するなど、アントラゴシーの概念の学びを目指しています。研究面では、生体の有する機能が円滑に動く仕組みを明らかにするために、電気生理学実験を中心に機能的な解析を行っています。また、遺伝子改変マウスを用いた病態モデルを作成し、機能障害の原因の解明を行っています。さらに、医工学研究にも力を注ぎ、疾患や機能低下の早期発見?スクリーニングを実現するウェアラブルデバイスの開発を行っています。なにより、研究の醍醐味である「面白さ」を大学院生にも伝えられるように心がけています。
主な研究内容および診療内容
1.遺伝子改変動物を用いたジストニア?オーラルジストニアの病態解明
2.乾燥感を産み出す神経機構の解明と治療薬の開発
3.摂食?嚥下機能測定のためのウェアラブルデバイスの開発
4.簡易型とろみ度測定器の開発
5.人工知能技術を活用した歯科技能評価システムの開発
6.嚥下機能評価ツールの開発