口腔顎顔面再建学講座 [歯科放射線学分野]
放射線はわれわれを取り巻く環境の中に自然に存在しています.また,産業や医学では様々な形で放射線を利用し,われわれはその大きな恩恵を受けています.一方で放射線の人体に対する影響を熟慮し,被ばくを最小限に留め,情報は最大限に引き出すことが医療では求められます.歯科放射線学分野では,臨床データの解析,実験?研究を通して放射線の適正利用を促進しています.
また,放射線以外にも超音波や磁気共鳴装置を用いた画像診断など,常に先進の技術を用い,質の向上を目指しています.
本分野では,正しい知識のもとで患者さんに一般的恐怖感を持つ事なく応用出来るよう実技を加えて実習します.
講座?教室からひとこと
歯科医学は,補綴系,保存系,口腔外科系や咬合育成系など,いくつかに細分化されていますが,どの分野でも放射線などを利用した画像診断は欠くことができません.特に歯は,顎骨という硬組織に囲まれていますので,X線は非侵襲的に病巣を観察するために大変重要なツールです.また,病巣の早期発見や,癌の縮小など大きな利益があることも事実です.しかし放射線の利用においては,放射線障害や遺伝的影響など人体に対する負の影響を常に考慮する必要があります.
歯科医には,診断のために撮影された画像を正確に読影し,適切な診断を下す能力が要求されますが,それと同時に,適正に放射線を利用する能力が求められます.講義や実習,あるいは卒後研修を通し,放射線に関する物理学や生物学,放射線防護といった基礎的な学問のほか,X線撮影法や放射線診断学,放射線治療学,核医学などの臨床的な学問についても学んでいただきたいと考えております.
講座?教室の基本理念
学生さんには講義や演習?実習を通して,歯科放射線に関連する知識や技能を習得すると共に,患者さんに接する際の態度やX線撮影,CTやMRI?核医学検査を利用した複合的な診断能力を身につけていただきます.また,本教室では,「学び」について共に考え,能動的な学習につながる様,情報提供を心掛けています.知識は応用しなければ,無いに等しく,正しい知識の取得と共に常に応用して新たな学習につなげてゆくことが重要です.わからないことは先送りせず,理解を深めるために自ら調べ,そして自分の理解が間違っていないかを確かめるためにわれわれを大いに利用していただければと思っています.
2年生では、プラスチックの頭蓋骨模型とX線写真を手元に置いて,必ず覚えておかなければならない人体の構造を学びます.本格的な放射線学の講義は3年生で行います.ここでは板書を単にノートに写しとる講義ではなく、事前に要点をまとめたノートを配布し,書き込み作業を通して講義を理解するよう工夫します.4年生では診断各論の講義とともに少人数グループによる演習を通して医療面接やX線撮影技術、画像診断の能力を高めます.5年生では実際の患者さんに接する臨床実習が1年間行われます.この期間では、これまでに学んだことをベースとした総合的な臨床能力が求められます.6年生は最終学年になりますが,繰り返し講義と特定のテーマに沿った重点講義を行い,国家試験合格をめざします.
主な研究内容および診療内容
<主な研究内容>
- 蓄積された画像データ?レポートデータのメタ解析による疾患の特性や病態,予後の解明
- MRI,PET等を用いた悪性疾患の鑑別と特徴抽出
- CBCTやCT,超高精細CT等を用いた新たな画像診断法の開発と評価
- 血管内治療の応用による侵襲的治療のアウトカムの改善に関する評価
<主な診療内容>
- 口腔領域に発生する疾患の画像診断
- インプラント治療のための画像診断
- 放射線科,放射線治療科との連携による全身疾患の画像診断および放射線治療