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建学の精神

岩手医科大学学則 第1章?第1条

本学の目的は、医学教育、歯学教育、薬学教育及び看護学教育を通じて誠の人間を育成するにある。すなわち、まず人としての教養を高め、充分な知識と技術とを修得させ、 更に進んでは専門の学理を究め、実地の修練を積み、出でては力を厚生済民に尽くし、入っては真摯な学者として、斯道の進歩発展に貢献させること、これが本学の使命とする所である。


西欧化の荒波が押し寄せる中、明治新政府の医療施策は定まらず、岩手県では医育機関が長期に亘り途絶える等、県民の医療は困窮を極めていました。これを憂いた三田俊次郎は、私財を投じて私立岩手病院を設立、同時に医学講習所、産婆看護婦養成所を併設、医療人の育成に努めました。自らは勤倹力行に徹する一方、幾多の社会福祉事業、育英事業を興し、生涯を弱者救済と人材育成に捧げました。

俊次郎の限りない人類愛を受け継ぎ、岩手医学専門学校第2代校長となった定則は、戦後の学制改革に際し陣頭指揮を執って大学昇格を果たし、初代学長に就任しました。温厚にして飾らず、誰に対しても敬と愛をもって接した定則は「医師たらんとする者は先ず人間であらねばならぬ」を持論とし、人類の理想に「誠」を掲げました。

俊次郎と定則の精神は、私立学校法改正に伴う学校法人岩手医科大学への組織変更に際し、新制岩手医科大学学則に高らかに謳われ、今日まで脈々と受け継がれています。