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平成21年度入学式式辞

平成21年度入学式式辞本日ここに、岩手医科大学大学院並びに医学部、歯学部、薬学部の入学生諸君を迎え、平成二十一年度入学式を挙行できますことは、本学にとりまして誠に大きな慶びであります。 大学を代表し、心からの祝福と歓迎の意を表したいと思います。また、入学生本人以上に、本日ご列席のご両親、ご親族の皆様にはお喜びもさらにひとしおのものと拝察申し上げ、心よりお祝いを申し上げます。
はじめに、大学院に入学された諸君に申し上げます。  医学、歯学、医療の進歩、発展は極めて早く、今日の常識が数年後には非常識になるほどです。その意味で生涯学習は極めて重要であります。大学院における 研究を通じ、自ら生涯学び続ける事ができる手法を修得することは、誠に意義あるものであり、諸君の賢明なる選択に敬意を表したいと思います。
大学院は、学術の理論および応用を研究し、その深奥を究めて、ひいては人類の福祉に寄与することにあります。しかし、研究の道のりは決して容易なもので はありません。確固たる強い意志が必要です。そして、諸君が入学した大学院は、最高学府の最上位に位置するものでることを自覚し、これから始まる研究が実 り多く、所期の目的を達成するために精進されること期待しています。
次に、医学部、歯学部、薬学部の入学生諸君に申し上げます。入学誠におめでとう。 殊にも薬学部入学生は、学部新設三回生であります。同級生一丸となり、後輩の規範となって薬学部の今後の長く続く歴史の礎を築いていって欲しいと思います。
諸君は、今日から医学、歯学、薬学への第一歩を踏み出すことになります。医師、歯科医師、薬剤師、研究者を生涯の職と選び、その道に進むことができた喜びをひしひしと感じていることと思います。その感激を忘れることなく、有意義な学生生活を送ることを希望します。
はじめに、入学した諸君には、本学の「歴史」と「建学の精神」を知って頂かなければなりません。 本学は、明治三十年、三田俊次郎先生によって創立された私立岩手病院医学講習所を源としています。その後、幾多の変遷を経て、昭和三年に岩手医学専門学校 として再発足し、昭和二十二年、大学に昇格して現在に至っています。また、歯学部は国公私立を含め東北、北海道で初めての学部として、昭和四十年に発足し ました。 この様に、本学は岩手医学専門学校設立から今年で創立八十一年、医学講習所までさかのぼると百十二年もの永き歴史と伝統をもつ東北、北海道唯一の私立医科 大学であります。
現在、本学は、広大な学校用地を矢巾地区に求め、総合移転整備計画を進めております。近い将来、学部と附属病院を矢巾キャンパスに移転し、現在の内丸地 区にはメディカルセンターを設置し、大いなる飛躍が予定されています。また、薬学部の開設に伴い、本学は全国でも数少ない医学部、歯学部、薬学部の三学部 を擁する医療系総合大学となりました。また、学部間の垣根のない教育、診療、研究体制を目指した運営方針のもと、世界にも類を見ない特色ある大学として更 なる発展が期待されています。
諸君は、病める方々を相手にする職業を選びました。誰一人として、知識や技能のない医療人に自身の身を預けたいと思う人はありません。従って、将来、諸 君が診ることになる患者さんのために、真剣に勉学に励み、十分な知識と技術を習得する必要があり、これは義務といっても良いでしょう。 また、医療に携わる以上、病める人の立場に立ち、病める人の気持ちがわかる豊かな人間性と教養と社会性は必須の素養です。同時に、人々の信頼に応える人間 としての礼儀、挨拶、言葉使い、態度、身だしなみ、そして、良好な人間関係を築くことのできる能力は極めて重要です。 幅広い分野の書を読み、教養を深め、医療関係以外の方々とも積極的に接し、また、生涯の良き友を得ることも重要です。大学における課外活動としての部活動 は、その機会を得るひとつです。先輩、同級生、後輩そして社会との交流を深め、その中から良き友人、人間関係をつくることを学びとっていただきたいと思い ます。
これこそが学則第一条に明記されている本学の建学の精神である、「誠の人間を育成する」ことにつながるものと信じています。「医療人たる前に、誠の人間 たれ」の言葉の重みを胸に刻み、六年間の学生生活を通じ、医療人としての基本である、人格形成に努めて頂きたいと思います。
終わりに、健康には十分に留意して、新しい矢巾キャンパスで、有意義な学生生活を送られることを切望し、そして、我が岩手医科大学が諸君とともに限りなく発展することを祈念して式辞といたします。

(平成21年4月9日 岩手県民会館)