理念
HOME > 理念 > 学長ご挨拶 > 学長スピーチ集 > 平成22年度入学式式辞

平成22年度入学式式辞

平成22年度入学式式辞本日ここに、入学生諸君を迎え、岩手医科大学「平成二十二年度入学式」を挙行できますことは、本学にとりまして誠に大きな慶びであります。
大学を代表し、心からの祝福と歓迎の意を表したいと思います。また、入学生本人以上に、本日ご列席のご両親、ご親族の皆様にはお慶びもひとしおとご拝察申し上げ、心よりお祝いを申し上げます。
はじめに、学部入学生諸君に申し上げます。入学、誠におめでとう。
諸君は、今日から医学、歯学、薬学への第一歩を踏み出すことになります。医師、歯科医師、薬剤師、そして研究者を生涯の職と選び、その道に進むことができた喜びをひしひしと感じていることと思います。その感激を忘れることなく、有意義な学生生活を送ることを希望します。
はじめに、入学した諸君には、本学の「歴史」と「建学の精神」を知って頂かなければなりません。
本学は、明治三十年、三田俊次郎先生によって創立された私立岩手病院、医学講習所、岩手医学校を源としています。その後、幾多の変遷を経て、昭和三年、 岩手医学専門学校として再発足し、昭和二十二年、大学に昇格して現在に至っています。本学は岩手医学専門学校設立から八十二年、さらに医学講習所設立まで さかのぼると、百十三年もの永き歴史をもつ伝統ある大学であります。
歯学部は、国公私立を通じ東北、北海道で初めての学部として、昭和四十年に発足しました。薬学部は、四年前の平成十九年に発足し、以来、本学は東北、北海道唯一の医療系総合大学としてたゆみない発展を続けてきております。
現在、本学は、大堀勉理事長統理の下、歴史的大事業である総合移転整備計画を進めております。来春には医学部?歯学部の基礎部門及び共同研究部門並びに 医学部?歯学部四年生までの講義実習棟が矢巾キャンパスに完成します。また、本邦で二台目となる七テスラMRI装置を設備した世界最高峰の研究施設も稼働 の予定で、世界各地の研究機関との共同研究が始まります。
また、今後は、附属病院を矢巾キャンパスに移転し、現在の内丸キャンパスには、新たにメディカルセンターを設置する計画であり、大いなる飛躍が予定されています。
また、学部や講座間の垣根のない教育、診療、研究体制を目指した運営方針のもと、世界にも類を見ない特色ある大学として、更なる発展を期しています。
諸君は、病める方々を相手にする医療専門職を生涯の職として選び、本学に入学しました。医療に携わる以上、病める弱者の立場に立ち、その気持ちがわかる 豊かな人間性が求められます。その人間性を形成するための教養と社会性は必須の素養であり、人々の信頼に応える社会人としての礼儀、挨拶、言葉使い、態 度、身だしなみ、そして、良好な人間関係を築くことのできる能力は、極めて重要です。これこそが本学の建学の精神である「医療人である前に誠の人間であ れ。」の意味であります。
一方、病をもつ弱者を思いやる心があっても、優れた最新の知識や技能なしには、高度な医療を実践することはできません。従って、真剣に勉学に励み、十分 な知識と技術を習得することが求められます。大学での勉学は、医療専門職を目指した諸君が、将来、診療することになるであろう患者さんに対する「義務」と いっても良いでしょう。
「医療人たる前に、誠の人間たれ。」の言葉の重みを胸に刻み、学生生活を通じ、医療人としての基本である、人格形成に努めて頂きたいと思います。
殊にも、本年度は、医学部、歯学部では初めての「学士編入学生」を迎えました。諸君には、学士として学んだ知識と技術を駆使し、各学年でリーダーとしておおいに羽ばたいて頂きたいと思います。
次に、大学院に入学された諸君に申し上げます。
医学、歯学、医療の進歩、発展は極めて早く、今日の常識が数年後には非常識になるほどです。その意味で生涯学習は極めて重要であります。大学院における 研究を通じ、自ら生涯学び続ける事ができる手法を修得することは、誠に意義あるものであり、諸君の賢明なる選択に敬意を表したいと思います。
大学院の目的は、学術の理論および応用を研究し、その深奥を究め、人類の福祉に寄与することにあります。しかし、研究の道のりは決して容易なものではあ りません。確固たる強い意志が必要です。そして、諸君が入学した大学院は、最高学府の最上位に位置するものでることを自覚し、これから始まる研究が実り多 く、所期の目的を達成するために精進されることを期待しています。
終わりに、健康には十分に留意して、新しい矢巾キャンパスで、有意義な学生生活を送られることを切望し、そして、我が岩手医科大学が諸君とともに限りなく発展することを祈念して式辞といたします。

(平成22年4月9日 岩手県民会館)