◆病學通論 全12巻(存3巻) 緒方公裁譯述 [出版地不明] : 越智・二書堂 , 安政4 [1857] ◆病學通論 全12巻(存3巻) 緒方洪庵譯述 [盛岡] : 池田政之 , 安政4 [1857] 洪庵緒方先生訳本「初篇」, 和装本袋綴じ、写本 『病学通論』は嘉永二年(1849年)、日本語で書かれた最初の病理学書である。フーフェラント(C.W.Hufeland)、ハルトマン(Hartmann)らの病理学書やリシュラン(Richerand)、ローゼ(Roose)らの生理学書シュプレンゲル(Sprengel)の治方総説やその他の諸書を参照し訳集した。もともとは、緒方洪庵が彼の師の宇田川榛斎(玄真)の「原病學通論」を受け継いで「病學通論」を翻訳する際に考えた病原論・原病論・病学論・病理学の中から生まれたとされる。仕事の途中で榛斎(玄真)は逝去したが、病床にある時、榛斎(玄真)は「病学の一書はまだ脱稿できていない。遺憾である。この志を継いでほしい。」と洪庵へ語った。その後洪庵は、遺稿を手に入れ、原著を調べ彼の師の榛斎(玄真)の遺業を受け継いだ。有機・無機の両体、機力、化学力、動力、反応、刺激、抵抗などに論及し、さらに疾病、変病、病機、分泌の原因と弊、転機、病性諸期、病類などの項目について簡明に記述されている。 当初12巻を刊行する予定であったが、実際には「生機論」、「疾病総論第一」、「疾病総論第二」の3巻だけが刊行された。この3巻が出版されたのは榛斎(玄真)没後15年目であり、この間に作られた、ある写本では榛斎(玄真)の遺稿を洪庵が受け継いだことが明記されているものもある。 参考文献 日本近代医学のあゆみ WZ70/F64 世界名著大辞典5 O25/Se22/5 |