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頭頸部がんに対するリンパ行性薬物送達法に関する特定臨床研究を開始

頭頸部がんでは所属リンパ節に転移が確認された場合、5年生存率は30-70%程度まで低下します(Kusaka, et al. 2022)。したがって、リンパ節を早期に診断し治療することが極めて重要です。通常、転移リンパ節の治療では静脈経路による全身化学療法が用いられますが、転移リンパ節では内圧の増加(Miura, et al. 2016)や血管網の減少(Yamaki, et al. 2021)などから、抗がん剤が血管からの漏出が抑制され、薬効に必要な十分な抗がん剤がリンパ節内に貯留できない環境になっています。
東北大学大学院医工学研究科 小玉哲也 教授および同大学大学院歯学研究科 アリウンブヤン?スフバートル 助教らのグループはリンパ節に直接薬剤を投与するリンパ行性薬物送達法 (lymphatic drug delivery system: LDDS)を2016年以降開発してまいりました(Sukhbaatar, et al. 2024)。この方法は全身化学療法の薬剤投与量に比べて微量な薬剤で転移リンパ節を治療することができ、かつ副作用は、薬剤アレルギーがなければ, ほとんど無視することができます。
今回、岩手医科大学附属病院頭頸部外科 志賀清人 教授のもとで進行?再発頭頸部癌症例の転移リンパ節に対する特定臨床研究を、2024年6月から岩手医科大学附属病院頭頸部腫瘍センターで開始しました。