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医歯薬総合研究所(分子病態解析部門)

部門紹介

難治性疾患に対する有効な診断法や治療法を確立することは大学病院の責務の1つです。当部門では臨床検体を用いて得られた創薬標的分子を医薬品や診断薬として臨床応用するトランスレーショナルリサーチ研究を推進しています。具体的にはリウマチ?膠原病?アレルギー内科分野との連携を軸として、学内各臨床講座との連携を積極的に進め、広い視野で研究を臓器横断的に展開しています。有効な治療法、診断法が確立されていない自己免疫疾患などの難治性疾患患者の血液検体を用いて治療前後に変動する遺伝子レベルやタンパク質レベルで発現プロファイルを解析することにより創薬標的分子を同定し、新規治療法開発を行っています。また、難治性癌に対しても当研究室で独自に単離したサイトカインシグナル伝達抑制分子(SOCS)を用いた新規遺伝子治療法の開発や、癌抗原に対して独自に開発した抗体医薬の開発も行っています。当研究室で発見した創薬標的分子に着目し、有効な治療法を社会に還元すべく実用化研究を進めています。

主な研究内容

JAK/STATシグナル伝達経路の負の抑制分子としてサイトカインシグナル伝達抑制分子(SOCS)を世界に先駆けて単離し、ノックアウトマウスを用いてその機能を解明しました(Naka et al., 1997, Nature)。そして、アデノウイルスベクターを用いてSOCS3遺伝子を癌細胞に強制発現させることが悪性胸膜中皮腫などの難治性癌に対する有効な治療法になり得ることを非臨床研究から明らかにしました(Iwahori, Naka, et al., Int J Cancer. 2011)。現在、AdSOCS3を用いた悪性胸膜中皮腫に対する新規遺伝子治療法の開発に関する医師主導治験を準備しています。さらに、食道癌や膵臓癌、卵巣癌に高発現する癌抗原としてGlypican-1(GPC1)やlipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR)を同定し、抗体医薬標的としての有用性を示しました(Hara, Naka, et al., BrJC. 2016, Munekage, Naka, et al., Neoplasia. 2021, Hiramatsu, Naka,et al., Cancer Res. 2018)。AMED、革新的がん医療実用化研究事業(令和6年度から令和8年度)の支援を得て抗体医薬品開発の実用化研究を実施しています。

学生へのメッセージ

臨床検体を遺伝子レベル、タンパク質レベルで発現解析を行い、難治性疾患の発症機序解明や診断法の開発、医薬品開発に結びつけることで医療の質の向上に関わりたい方を歓迎します。

 

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