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平成27年4月からセンター長を拝命し、その重責を痛感しております。
岩手県の沿岸部が壊滅的な被害を受けた平成23年3月11日の東日本大震災。発災後岩手医科大学は岩手県と連携し被災地への医療支援を様々な形で実施するとともに、超急性期から現在に至るまで、広域災害における様々な課題を経験いたしました。
平成25年春に文部科学省「大学改革推進等補助金(大学等による地域復興のためのセンター的機能整備事業)」を活用し、全国に発信できる災害時地域医療体制モデルの確立、実践としての災害医療教育による人材育成を目指し、災害時地域医療支援教育センターを竣工し、災害医療体制の発展に尽力しております。
人材育成については、日本災害医療ロジスティクス研修をはじめ、災害医療研修など、災害医療に関する講義やシミュレーション演習などを通じて、多くの方々に災害について理解を深めていただき、有事の際の活動スキル向上を図っております。
また、被災沿岸病院との遠隔医療ネットワークの構築により、医師不足が顕著な本県の被災地医療の復興と医療課題の解決に向けた取り組みを行いました。
そのほか、東日本大震災?津波時における岩手県の活動を検証?分析し、そこから得られた様々な情報をフィードバックすることで、今後の災害医療提供体制の提言を行うための取り組みも進めております。
阪神?淡路大震災以降、多くの先達の手によって我が国の災害医療体制は発展を続けてきました。当センターでは、これらをより洗練されたものにし、次世代につないでいくことを使命として、さらなる研究?教育活動を推進して参ります。
岩手医科大学は、広大な県土と医療過疎地を抱える岩手県唯一の医師養成機関として、県内のみならず北東北の医療過疎地へ医師派遣を行うなど、地域医療の改善を推進し、同時に学生への地域医療体験学習?実習などをカリキュラムに導入するなど、地域を担う医師の要請にも積極的に取り組んで参りました。
このような地域委慮う支援の経緯を持つ本学は、東日本大震災に際し、被災地への医療支援体制の早急な立ち上げと維持に尽力する中で、広域災害における様々な課題を経験しました。これら被災経験を基盤に、これまでの災害医療の枠組みを超えた連携システムを構築し、災害時の緊急医療支援体制を含む総合的地域医療支援体制を拡充?強化する、また災害医療の教育拠点として、今後起こり得る大規模災害に対応できる人材を育成するなど、災害時地域医療支援教育センター(以後、当センター)は、被災地の医療復興、更には全国に発信できる災害医療支援体制を確立することを目的に設置されました。
また、東日本大震災時に立ち上げた「いわて災害医療支援ネットワーク」は、医療救護班のマネージメント、傷病者の広域搬送、医薬品?医療資機材の供給、検診活動、感染対策など様々な活動を展開しましたが、この「医療情報の保護?共有」が遠隔医療ネットワーク構築の基礎となり、医療情報連携リポジトリを用いた診療情報のオンライン提供など、情報面でも被災経験に基づいた医療情報連携の確立を図っています。全県の医療情報をバックアップする機能をセンター内に備えており、全方位型の医療支援のためのハード面における強化も、当センターが核となる重要な役割を担っております。
1.災害対応の問題点と情報の収集?検証
2.災害時対応医療人の育成
4F | ?医学教育学講座医学教育学分野 ?医学教育学講座地域医療学分野 ?総合情報センター ?カンファランスルーム | ?看護学部 |
3F | ?クリニカルシミュレーションセンター | |
2F |
?センター長室 ?救急?災害医学講座 ?センター事務室 ?備蓄関連倉庫 |
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1F |
?災害?地域精神医学講座 ?岩手県こころのケアセンター ?研修室 |
?いわてこどもケアセンター ?児童精神科外来 |
研修室とオープンラウンジをレイアウトしています。
オープンラウンジは災害発生時に全国から参集する医療チームの受け入れなど、参集拠点?活動拠点としての活用を想定したスペースを確保しています。
研修室は、研修室1と研修室2が可動式パーティションで区切られており、パーティションを開放することで、1つの大きな研修室として、120名程度までの研修が開催可能です。
正面のスクリーンに加えて大型液晶ディスプレイを4台設置し、大学内だけではなく、広く一般の方々に向けた講演会などにも利用しています。
備蓄関連倉庫と救急?災害?総合医学講座災害医学分野研究室、災害時地域医療支援教育センター事務室があります。
備蓄倉庫には、飲料水と長期保存可能な食糧を約5,000食分備蓄。また、災害時の医療支援の際に必要となる、各種備品(非常灯?ヘルメット?安全靴?ハンディスピーカー?マット?毛布?応急救護医療セットなど、東日本大震災時の経験を活かし選定したもの)も備えており、災害時医療の司令塔を後方から支える設備となっています。
加えて、大規模災害発生時に全国から参集する医療チームの休憩場所としても機能できるように、簡易ベッドなどの資器材も用意しています。
クリニカルシミュレーションセンターのフロアです。
30種類以上のシミュレータを管理し、災害時の診察や治療の実践などを学ぶことができます。
災害により倒壊した家屋を模した施設を常設した災害シミュレーション室は他に類を見ない施設です。照明や音響設備を用いて災害現場に近い環境を再現し、がれきの中に取り残された要救助者の診療をシミュレートすることが可能です。
また、がれきの中を撮影可能な小型カメラを設置することで、別室でシミュレーションの様子を視聴できるビデオデブリーフィングシステムも備えています。
今回の震災では、沿岸部の医療機関のカルテが津波で流出し、重要な医療情報が喪失しました。当センターでは免震構造に加え、非常用電源を備えており、厳重なセキュリティ対策のもと診療情報をバックアップしています。また、この医療情報を活用して、本学と被災地県立拠点病院間での共有を行っております。